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高松高等裁判所 平成6年(行コ)15号 判決 1995年12月19日

控訴人(原告) 株式会社昇工業

被控訴人(被告) 愛媛県知事

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が、控訴人の申請に係る平成二年一二月二一日愛媛県今治中央保健所受付第三五二号「産業廃棄物処理業許可申請」に対し、平成三年一一月二五日付けでした不許可処分を取り消す。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨。

第二事案の概要並びに証拠関係

本件事案の概要は、次のとおり付加するほか、原判決事実及び理由の「第二 事案の概要」記載のとおりであり、証拠関係は原審及び当審記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

原判決七頁五行目の「処分を」の次に「業として」を、同二三頁八行目の「義務が存した。」の次に「また、予想される控訴人の傭船方法が本件許可申請のものとは違うというのであれば、控訴人を事情聴取し、弁明の機会を与え、問題点があればそれを指摘し、補正・変更の機会を与えるのが、適正手続の要請からして、行政庁に課せられた義務である。」を、同二四頁七行目末尾に続けて「また、控訴人は、裸傭船契約により船舶を借り上げなければならないこと及びその契約の内容を承知していたにもかかわらず、被控訴人を偽って許可を得ようとしていたのであるから、被控訴人が本件許可申請書の補正を指導しても、控訴人は形式的に書類上だけを取り繕って済ますものと考えざるを得なかったものであり、さらに、被控訴人は、控訴人が廃棄物処理法七条二項四号ハ所定の「その業務に関し、不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に該当すると判断していたのであるから、被控訴人が控訴人に対し、弁明や補正の機会を与えなかったとしても、何ら違法ではない。」を加える。

第三争点に対する判断

争点に対する判断は、次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決事実及び理由の「第三 争点に対する判断」記載のとおりであるから、これを引用する。当審における証拠調の結果は右判断を左右しない。

一  原判決三〇頁六行目の「締結するか」から同一〇行目の「定期傭船契約を」までを削除し、同三二頁七行目の「原告は、」の次に「平成元年二月一〇日、香川県知事から産業廃棄物の収集運搬業の許可を受け、」を加え、同三三頁二行目の「原告従業員立会いの下で、」を「控訴人が」と、同七、八行目の「無線電話により連絡を取り合った」を「控訴人が無線電話により、船上の産業廃棄物に関し、船長等に指示を与えた」と、同三六頁末行目の「住吉丸」から同三七頁一行目の「船員」までを「当該船舶を所有する海運会社の船員」と、同五行目の「藤栄海運」を「藤栄汽船」と改め、同三八頁九行目の「定期傭船契約」から同三九頁二行目の「しかるに、」までを削除し、同一〇行目の「程遠く」から同四〇頁一行目末尾までを「程遠いものであった。」と改め、同四二頁八行目の「や定期傭船契約」を削除する。

二  同四八頁七行目の「二六枚目裏」を「二六枚目表裏」と改め、同五〇頁六行目の「証人」の前に「一九の1、2、」を、同五一頁六行目の「事務所で」の次に「本店の」を、同行目の「本店移転の」の次に「内部手続及びその」を、同八行目の「本店」の次に、「・事務所」を、同九行目の「七条一〇項」の次に「、同法施行規則二条の四・一項二号」を、同一〇行目の「住所」の次に「等」を、同五二頁四行目の「本店移転の」の次に「内部手続及びその」を、同五三頁四行目の「本店」の次に「・事務所」を加える。

三  同六〇頁七行目の後に、改行して、次のとおり加える。

「また、前記認定のとおり、控訴人は、これまでの許可権者による行政指導により、裸傭船契約により船舶を借り上げ、これを自ら運行するのでなければ、産業廃棄物処理業の許可を受けるのが困難な実情を認識しており、本件許可申請に際しても、裸傭船契約により船舶のみを借り上げ、自らが船員を任用して船舶を運行するかのように書類上仮装して、虚偽の裸傭船契約書及び船員名簿を本件申請書に添付していたのであるから、仮に、被控訴人が、予想される控訴人の傭船方法が本件許可申請のものとは違うということを指摘して、弁明・補正・変更の機会を与えたとしても、その申請態度に照らすと、控訴人は、その経営体制自体を実際に変更するのではなく、単に書類上の補正だけを行う可能性が高いものと判断されても止むを得ないところであるし、さらに、被控訴人としては、控訴人が廃棄物処理法七条二項四号ハ所定の「その業務に関し、不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に該当すると判断していたのであるから、控訴人主張の行政指導を行うと否とにかかわりなく、本件許可申請は廃棄物処理法一四条二項二号に適合しないものとして、これに対し許可をしてはならず、結局、被控訴人としては、控訴人主張の行政指導をするまでもなく、本件不許可処分をすべき立場にあった。」

第四結論

よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 大石貢二 馬渕勉 一志泰滋)

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